黒沢健一さんのライブに行った話

きっかけはビルボード東京から突然届いた封筒でした。
「封筒に入ってるなんて丁寧なDMだなあ」なんて考えながら開封したところ、「アンケート特別ご招待チケット当選」とのこと。そう言えば、一年ほど前ビルボードでのライブの帰り際にアンケートに回答したような。

対象公演は、黒沢健一 with KACTUSのSpecial Cover Song Party 2015。

当時の私がよく聴いていた音楽はインスト。失礼ながら、黒沢さんのことを知りませんでした。
当日までに予習しておこうと思っていたものの、結局時間が取れないまま会場へ。伺ったのは2ndステージです。

当日案内していただいたのはなんと中央の最前のテーブルで、ボーカルの真ん前の席。
学生だったこともあり、それまでビルボードでは割安のステージから遠い席にしか座ったことがありませんでした。

いただいたチケットで初めてのサービスシート、しかも最前列。
いつもの五階席とは全く世界が違う。手が届く距離にステージがある。
周りの人が全員自分よりずっと大人に見える。もしかして私浮いてる?
もっと高そうな服を着てこればよかった。ちゃんと予習してこればよかった。ビルボードの方にもファンの方にもご本人にも申し訳ないぞ、、

でもライブが始まってみると、そんな気持ちは全てどこかに行ってしまって。
音楽に生きると決めた人はこんな音を奏でられるのかと、大きな衝撃を受けたことを強く覚えています。

その音楽には一切の迷いがなく、不安や戸惑いのようなネガティブな気持ちはどこにもありませんでした。
出演者全員が全身で音を楽しんでいることがまっすぐ伝わってきて、気づけば私も安心して目の前の音に身を任せていて。
会場全体がひとつになって今日を祝福しているような、みんな夢の中にいるような、
幸せで穏やかで、底が見えないのにあたたかで不安じゃない。
音に包まれて心地よくどこまでも沈んでいけそうな、特別なライブでした。

当日のセットリストが、ビルボードの公式の公演案内に残っていました。
1stのものなので、2ndはまた少し演目が違ったと思います。


【Set List】2015/10/30 1st@Billboard Live TOKYO

  1. Dance With Me
  2. Have You Ever Seen The Rain
  3. Chains
  4. The Best Of My Love
  5. Teach Your Children
  6. Bring It On Home To Me
  7. The Weight
  8. Hotel California
  9. California Dreaming
  10. It's So Easy
  11. Oh, Pretty Woman
  12. Lucille

〜Ec〜

  1. Starting Over
  2. Boots

それから約一年後。2016年12月、黒沢さんが脳腫瘍のため亡くなりました。
ビルボードのリハーサル中に感じた目眩をきっかけに脳腫瘍が発覚し、一年間入退院を繰り返しながら闘病されていたようです。あの夜が彼の最後のライブとなりました。

心の中に大事にしまっていたこのエピソード。
たまに取り出しては一人で眺めていたけれど、思い出が時間と一緒に流れていくのが怖いので今のうちに文字に残しておきました。

隅から隅まで、ただ音楽の喜びだけに満たされたあの時間は、今も私の宝物です。
招待してくださったビルボードの皆様、KACTUSの皆様、そして黒沢健一さんに心から感謝します。